2021/04/05

新社会人へ「なんで信頼関係が大切なのか」

こんにちは。

 

いよいよ4月。さまざまな形でスタートを切った方にとっては、新鮮な日々を過ごされていることと思います。

 

そんな中で今回のコラムは、「新社会人へ」というテーマでさらに深めていきます。

 

今更だけど考えたい、信頼関係の大切さについてです。

 

 

■本当にあった笑えない話

もう7~8年前になるでしょうか。某メーカーの工場で、チームビルディングのワークショップを行っていたときのことです。

 

その研修には、工場長以下、従業員全員が参加していました。

ヒアリングやアンケートなど、事前の調査によって、その工場にはいくつかの課題があることが浮き彫りになっていました。

その結果を全員で共有した後、いくつかグループに分かれて、課題の原因、そして対策を立てていくのですが、その日はワークショップの初日でした。

 

もしかすると、ものづくりの現場であればよく聞くことかもしれませんが、

その工場で取り上げられた主な課題には、

例えば「在庫が減らない」、「品質のクレームが改善しない」、「ある製品群において納期遅れが常態化している」というものが、含まれていました。

 

が、それら諸々の課題を大きく引き離し、圧倒的に多く挙がった声があります。何だと思いますか?

 

それは、「この職場は、コミュニケーションがうまくいっていない」という不満でした。

それを裏付けるように、従業員アンケートでは、「管理職への信頼度」を示す指標が、業界および業種の平均を大きく下回るスコアとなっていたのです。

 

そして、真の問題が明るみに出たのは、このアンケートが当事者全員に開示された直後のことです。

 

私は全員が集合していた場で、工場で大きな影響力を持つと言われるA部長に対し、「この結果について、どう受け止めますか?」と、コメントを求めました。

するとA部長は、表情を少しも変えずに、こう言い放ちました。

「たしかにスコアは低いみたいだけど、信頼関係がなくったって、仕事はできるでしょ?違いますか?」。

 

他のグループにいる、若手や中堅社員から、声にならないため息が漏れたのを聞きました。

私はA部長のコメントにはすぐには反応せず、この人の上司である工場長に、視線を移してみました。

すると工場長、および周囲に座っていた部長の面々は、一様にニヤリとした笑みを浮かべているのがわかりました。

その静かな笑みの裏側を想像するに、

「まあ、A部長の言う通りだよな」あるいは「A部長、よく言ってくれた」という、おおむね同意しているときの笑みに私は感じました。

 

そして、そのまま私は今度、会場の後方でオブザーブをしていた、さらにその上司である、執行役員と、その横に座る工場人事の部長の方にも目をやりました。

すると、そのお二人の表情は、工場長たちとはまったく正反対のものでした。肩がこわばり、眉間にしわが寄り、スライドに表示されたスコアをにらみつけているようです。

 

 

■誰しも口先は「コミュニケーションが大事」と言う

 

私はコメントをしてくれたA部長にはなにも反応せず、今後は、工場長の方に歩いて近づいていきました。

そして、工場長の目を見て、嚙んで含むようにゆっくりとたずねました。

 

「工場長は、このままで、良いですか?」。

会場が一瞬ピリッとしたように感じました。

工場長の顔はそのとき一瞬でハッとした表情に変わり、「いえ、たしかに、この問題は、深刻ですね」と答えました。

「例えば?」私は質問を続けました。

「例えば。そうですね。やっぱり、こういうことが、若手が辞めていく原因にもなってるんじゃないかと。何とかしないと…そう思います」。

 

現場のリーダーのおごり。現場の若手のあきらめ。本部の怒りと心配。

組織開発のコンサルティングをする中で、こうした場面に遭うのは、じつは少なくありません。

 

この工場の場合、ひとくちに「コミュニケーション」の問題といっても、相当に根が深いという雰囲気は、伝わるでしょうか。

 

誰しも「コミュニケーションは大切だ」と言います。それを否定する人はいないでしょう。でも、なぜ、どれくらい大切なのかと問われると、自分の言葉でしっかり答えらえる人は、じつはそれほど多くありません。

 

 

■結論:風通しの良い組織はこうやってできる

 

ここで、テーマをコミュニケーションから「信頼関係」につながて、今さらですが一緒に考察してみましょう。

 

まず、結論からお伝えします。

 

「良い仕事をする組織は、信頼関係が強い」と、私は思っています。

そして、「信頼関係の強さは、人に対するポジティブな感情に比例する」。

さらに、「人に対するポジティブな感情は、コミュニケーションの質量に比例する」というのが私なりの持論です。

 

このように降りていくと、結果として、

「組織の強さって、コミュニケーションによって決定されるんだな」と見ることができますね。

 

その通りです。

すべての始まりは、コミュニケーションからだと言えるわけです。

 

ここで、簡単に、そのしくみを解説していきます。

 

<コミュニケーションと信頼関係の関係>

1)コミュニケーションが交わされる。 #気持ちに余裕を持つ

2)交わされる「情報」が増える。 #情報の流通量の増加

3)相手のことを、より深く知ることができる。 #人間関係の醸成

4)前よりも相手のことが好きになる。 #ポジティブ感情の増大

5)相手の言っていることや、求めていることが、よりわかるようになる。 #相互理解

6)お互いをサポートし合える関係が生まれる。 #信頼関係の構築

7)一緒に仕事をしていて、勘違いや、解釈ミスが減る。 #シナジーの創出

8)ミスや事故が減り、正確で質の良い仕事ができるようになる。 #生産性の向上

9)さらに、コミュニケーションが活性化されていく。 #風通しの良い組織 

  1. おわかりでしょうか。すべてはコミュニケーションから始まる、成功のループです。
  2. つまり、信頼関係はどれほど大切かと問われれば、
  3. 「みんなで良い仕事をするためには、絶対に外せない条件だ」と言えます。

 

コミュニケーションは大事、という説明は、このようにしていってはいかがでしょうか?

 

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

この世はいかに定めなく変わるように見えても
そこには目にみえぬ一種の連続があり、
常に摂理によってさだめられた秩序がある。
この摂理さえあればこそ、万物はそれぞれの列をすすみ、
その定命の流れに従うのである。

2021/03/22

新社会人へ「仕事、楽しむ用意できてますか?」

こんにちは。

 

お彼岸の時期を迎えましたね。

コロナ禍では、季節感をあまり感じることは少ないかもしれませんが、

自然の求めるバイオリズムに、私たちも自然の一部として調和させていきたいものですね。

 

今回のテーマは、もうすぐ入社してくる新入社員や若手社員の皆さんに、

ぜひ語っていただきたい内容です。

 

■仕事って楽しんで良いんですか?

 

「仕事って、楽しんで良いんですか?」

 

もし今年の新入社員にこんなことを聞かれたら、なんと答えますか?

 

私なら、そんな疑問にこう答えます。

 

「仕事は楽しむものです」。

 

これが、私の結論でもあり、そのままストレートに理解してほしいです。

むしろ、

「楽しめなければ、良い仕事はできないし、楽しくないと思いながら仕事をしては誰も喜んでくれない」

と、すら思います。

 

 

■なぜ「仕事」と「楽しい」はつながらないのか?

 

“仕事”と“楽しい”が、うまくイメージとしてつながらない人も、多くいるのではないでしょうか。

「だって、やるべきことは決まっているわけだし、楽しいとか楽しくないとか関係ないでしょ。結局、やらなくちゃならないんだから」。

 

確かに、仕事というのは、組織や上司から配分された、自分が負うことになる責任とも言えます。

しかし、いったい誰から「仕事を楽しんではいけない」と言われたのでしょう。

 

私は学生時代、バスケットボールをやっていました。

練習時、少しでも笑っていると、監督から「お前、何がそんなに面白いんや?」と、即ビンタを張られました。問答無用です。

 

私は当初、バスケットボールを純粋に「楽しい」と思いながらプレイしていたので、自然と笑顔になっていたのだと思います。

自分でも、心から楽しいと思っているときの方が、しかめっ面でプレイしているときよりも、パフォーマンスが良いと実感していました。

 

でも、監督から「練習でも試合でも笑っているヤツは、真剣にやっていない証拠だ」と言われ、しだいに練習どころか、バスケットボール自体を楽しむことができなくなっていきました。

つまり、“部活”イコール“辛い”という印象が頭に刷り込まれ、それにつれパフォーマンスも、選手キャリアの後半はそれほど出せなくなっていきました。

 

 

■”部活文化”の呪い

 

これと似たようなエピソードを体験している、私と同世代の人たちは多いと思います。

 

いわゆる“部活文化”というやつです。

 

しかしこれには、弊害の方が多いと言わざるを得ません。

その弊害とは一言でいうと、「プレイ内容よりも、上下関係」が重視されるということです。

 

こうした極めて理不尽な世界では、パフォーマンスが良い若手から順番に、芽を摘まれていきます。

 

上下関係という無二の基準に照らされ、年長者は、自分よりも良いパフォーマンスを出す後輩や、異を唱えてくる後輩を、「生意気だ」という判断によって、黙殺したり、輪から外したり、ということを行なってしまうのです。

 

さらに、この理不尽な“部活文化が、実際の職場でも展開されていることだって、まれにあります。

そしてここでも、同じように、多少我が強いけれど優秀な若手社員が、気づけばまるで別人のように、大人しく、モノを言わず、無表情で淡々と仕事をこなすだけの人に変貌している、という姿を見ます。

 

そして決まって、そうした組織ではパフォーマンスが良くありません。

 

 

■やたら”従順”な社員が、組織のパフォーマンスを落とす

 

こうした職場で調査を行うと、その結果は、パフォーマンスが良くないというだけではありません。

 

従業員の間に、ある共通した特徴が出てきます。

それは、「従順である」ということ、そして、

仕事へのエンゲージメント(積極的な関わり方)が希薄である」ということです。

 

このことから、何が言えるのでしょう。

それは、「パフォーマンスの出ない組織は、そこにいる社員が仕事を楽しんでいない」ということです。

このように、昔々に体験した、あの“部活文化”の延長戦を、いまだにやっている組織は実際にあるのです。

 

 

■サステナブルな組織へのアップデート

 

時代はすっかり変わりました。

 

会社が個の行く先を示して、個も会社が示してくれた通りに従って行動すれば良い、という時代が終わり、そして、個が会社をけん引する時代が始まっているのです。

 

「必要以上の従順さ」という態度が、たとえ組織で評価されたとしても、

その組織が、今度は社会から評価されない、という時代が、今なのです。

個として私たちはどうすべきか。それは、仕事への関わり方のアップデートです。

 

つまり、「仕事を楽しむ」ことです。むしろ、「仕事は楽しむべきもの」だとさえ、私は思います。

 

自分がやっていることに“ポジティブな気持ち”を感じられなければ、それは永続きしないからです

つまらないと思いながら、イヤイヤ、義務感で、仕方なくやっていても、誰も喜んではくれません。

永続きしない仕事ばかりしている人たちが集まる組織、それこそ、社会からすれば「サステナブルではない」と評価されてしまうのです。

 

仕事を楽しもうそのために創意工夫しよう。

そのことが、ひいては組織をサステナブルな存在へと引き上げるのだから。

 

ただでさえ暗い世の中です。

新入社員を迎えるにあたって、先輩社員からぜひそう伝えてあげてください。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

あまり利口でない人たちは、

一般に自分のおよび得ない事柄については

何でもけなす。

2021/03/15

混乱から抜け出したいときの考え方

こんにちは。

 

少しずつ春の気配がしてきました。

当社の保養所がある熱海では、梅と桜が同時に見られます。

自然は、世の中なにがあろうと、淡々と来るべき時に、やることをやる。

そんな姿に、勝手に勇気づけられたりしています。

 

今回のテーマは、

・忙しすぎて本来の仕事がなかなかできない人

・頼まれごとを断れない人

に向けて、書きました。

 

リアルに使える(実際、私も使っている)、「優先順位のつけ方」です。

 

■かぎりあるエネルギーをどう使うか

 

たびたびコラムで触れてきたテーマですが、

「有限である自分のエネルギーを、本当に大切なことにいかに有効に使うか」

あるいは、

「いかに、かぎりあるエネルギーを、無駄なことに浪費しないか」

を話してきました。

 

その目的はもっと言うと、

「自分の意思で決めていないことばかりに関わり続ける」という態度を脱却しよう、ということです。

 

 

■他人に振り回され続ける人

 

例えば、こんなことはよくありませんか?

「指示されたことだから、余計なことなど考えず、とにかくそれをやるだけ」と、仕方なく、渋々、仕事に取りかかる。

もちろん、私自身も経験として心当たりはあります。

 

しかし、こうした態度というのは、「投じるエネルギーの濃淡を、自分の意志で決めていない」という態度です。

つまり、「限りあるエネルギーを、すべてにおいて均等配分する」という、何の戦略もない態度と言えます。

 

実際、目まぐるしく状況が変化する職場環境にいれば、次から次へと矢継ぎ早に指示が飛んでくるのは、事実でしょう。

それらをさばくがごとく、一心不乱で片づける。

でも、一日が終わりに近づき、はたと気づく。

「今日、自分がやりたかった仕事って、ひとつもできていない」と。

 

その頃にはすでに、タンクにエネルギーは残っていません。

体に感じるむなしい疲れ、ボンヤリとする頭、何より大きく残る後悔の念…「いったい自分は今日、何をやっていたんだろう」と心でつぶやく。

 

 

■力のダダ漏れを防ごう

 

もしも、エネルギーの配分先に優先順位をつけることなく、“ダダ洩れ”のごとく全方位的に浪費していくとします。

周囲はそんなあなたをどう見るでしょうか。

 

良く言えば「マジメで良い人」。

悪く言えば、「何でもやってくれる、都合よく使える人」、あるいは

「いつも何かに振り舞わされて、くたびれている人」

と映ります。

 

■『エナジーマトリクス』とは

 

『エナジーマトリクス』という、優先順位のつけ方をご紹介したいと思います。

 

その目的は、他人の頼まれごとばかりに消耗させられる、そんな日々から一日でも早く脱却しようとするものです。

 

もちろん、組織に身を置いていれば、意に反して引き受けざるを得ない頼まれごとは、実際たくさんあるでしょう。

それを拒否することも、現実的には難しいでしょう。

 

しかし、エネルギーを投じる“濃淡”、つまり使い方にメリハリをつけることくらいは、それほど苦労はないはずです。

 

このマトリクスを意識してものごとに取り組むというのは、

「みずからの取り組む姿勢を選ぶ。そして、意思をもってそこに意義を見出す」

という、積極的な姿勢を意味しています。

 

「他人によって操作される自分」から脱却し、エネルギーの浪費をできるかぎり最小限に抑えることに、狙いがあるのです。

 

 

■本当の優先順位のつけ方

 

ここで、エネルギーを投じるべき優先順位について、基準を示します。

“メリハリ基準”とも言えるものです。

 

「自分で選んだこと」かどうかと、「自分にしかできない」かどうか、という2つの軸で測ります。

 

<エネルギーのメリハリ基準> 

  1. その①イニシアティブ”領域
  2. 「自分で選んだ」 そして 「自分にしかできない」こと
  3. ・もっとも集中すべき最優先事項です。
  4. ・存分にエネルギーを注いでください。
  5. ・こここそ、主体性が最大限に発揮されやすい場となります。
  6. その②“伸びしろ”領域
  7. 「他人から頼まれた」 そして 「自分にしかできない」こと
  8. ・次に優先してエネルギーを投じるべきことです。
  9. ・たとえ自分の意思で選んだことでなかったとしても、それに取り組むことで、自分の価値が高まります。それは、たいへん大きな意義があります。

 

その③“自己満”領域

  1. 「自分で選んだ」 そして 「他人でもできる」こと
  2. ・さほどの苦労はせずともできてしまうので、つい引き受けてしまいがちになります
  3. ・が、これは要注意です。わかりやすく言えば、ここは趣味の範囲でやるべきことです。
  4. ・よくひとつの仕事を「好きだから」とやり続け、いっこうにそれらしい成果を挙げていない人を見かけますが、仕事でこの領域に関わっているかぎり、いわゆる“ジコマン”に浸っているのと大差ない状態です。

 

その④“ゴミ箱”領域

  1. 「他人から頼まれた」 そして 「他人でもできる」こと
  2. ・やってはいけない、あるいは、断るべきことです。
  3. ・それができないなら、もっとうまくやれる人に頼むべきことです。
  4. この領域に関わるのは、残念ながら、自分にとっても周りにとっても不幸を生むだけになります。
  5. 例えば職場であれば、「適材適所」が無視されて、「それがしくみだから」とか「それが昔からのやり方だから」という、意味不明の理由で割り当てられた、あきらかに自分には向いていない仕事です。
  6. できればすぐに、それをもっとうまくやれる人に譲ることをお勧めしますが、やむを得ず関わる必要がある場合は、「淡々と、時間をかけず、感情も入れず、たださばく」というやり方をお勧めします。
  7. いかがでしょうか。
  8. 自由意志によって主体性を発揮することを目指し、有効なポートフォリオを組むための4つの基準でした。
  9. すぐにでも今の仕事や作業をすべてリストアップし、それらがどこの領域に属するのか、
  10. やってみてはいかがでしょうか?

 

頭が整理され、気持ちが軽くなり、本当に自分にとってチームにとって必要なことのために

有限のエネルギーを使うことができるようになります。

 

 

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

才があって
愚かな人はいるが、

分別があって
愚かな人は決していない。

2021/03/01

ダイバーシティ「あべこべ論」

こんにちは。

 

少しずつ春らしい陽気を感じる季節になってきましたね。

 

今回は、ここ最近の、五輪組織委員会や国会での騒動をはじめ、

世間全体になんとなく流れ始めている「異端をたたく」というメンタリティについて、

私の考察を綴ります。

 

 

■過激化してきた「批判」運動

 

「あの人の女性蔑視発言はけしからん」

発言自体の問題性はさておき、ある偉い人が最近、こう叩かれましたね。

 

また、私たちの身近ではこんなことが起きています。

「あいつは体制批判をしている。けしからん」

「あの人はチームの足並みを乱す。けしからん」

という批判の声。

 

自分が思う正義と違う人がいたら、批判したくなる。

この感情自体、人間であれば、誰だって持っているものでしょう。

 

ところが、特に最近の世間の流れに、私は少し息苦しさを感じることがあります。

 

それは、批判が過激化している、と思うからです。

 

 

■それは、「臭い物にフタ」運動ともいえる

 

例えば、

「マスク警察」や「(車の)ナンバー警察」と揶揄される人たち。

 

あるいは、

例の五輪組織委員会。問題発言をした人を、フクロ叩きにした人たち。

 

私は、この両者は本質的に同じタイプなのでは、と思っています。

 

こういうタイプの人たちに共通しているのは、

自分たちの正義とする基準から少しでも外れると、

その人を批判するだけにとどまらず、

とどめを刺すまで、手を緩めず追い込む

という特徴です。

 

例の女性蔑視発言を受けて、

「追い詰めます、絶対に」とTwitterで発言した、国際オリンピック委員会の委員がいました。

 

私はこれを見て、背筋が寒くなる思いがしました。

 

たしかに現代は、ダイバーシティが重んじられる時代ではあります。

しかし、ある人の発言がダイバーシティに反する考えをしたからといって

「追い詰めます、絶対に」と表明するって。

 

それ自体、「多様な意見が存在することを、許さない」という意思表明ではないのでしょうか。

 

自分はダイバーシティ推進の旗手のつもりで、

ダイバーシティに反する多様な意見をつぶす。

つまり、その姿勢こそが、ダイバーシティの精神に反している、と言えないでしょうか?

 

私は、こうした、徹底的に追い込むような、過激化された批判は、

「臭い物にフタ」のわかりやすい行動パターンだと認識するようになりました。

 

 

■繰り返される悲しい歴史

 

世間が「是」とする多数派意見。

 

これを批判する少数派意見は、おおむね「否」とされます。

 

 

多数派によって、徹底的に否定・批判され、

表舞台から消えるまで追い詰めらて、

「なかったこと」になってしまった少数派の「否」の意見は、

いったいどこに行くのでしょう?

 

とうぜん、消えるはずはありません。

 

「皆と違うから駄目だ」という理由で、表舞台から無理やり引きずり降ろされた

「個人の意見」は、当然そこで消えるはずもなく、

表舞台ではなく、まるで地中に深く潜るように、自分の意見への賛同者を探して歩きます。

つまり、本音を言えるコミュニティを静かに、しかし、強固に形成していくのだと思います。

 

言いたいけど言えなかった本音と本音。

 

こういうものは、ものすごく強いエネルギーで結びつきます。

 

そして、マグマのように溜まったそのエネルギーはあるとき、地中では息苦しくなり、

いよいよ、恐ろしく強烈なパワーや影響力をもった状態で、また表舞台に舞い戻ってきます。

今度は、制御できないほどの勢いをもって。

 

まるで、核燃料の不法投棄が蓄積したことで生まれた、「ゴジラ」です。

 

5年前もこんなことがありましたね。

アメリカ合衆国の表舞台に登場したトランプ氏は、

当時はマイノリティと言われた、差別主義者たちのの気持ちを代弁する形で、

まさに勢いづいて大統領にまでなりました。

 

 

■組織運営は「臭い物にフタをしない」こと

 

ダイバーシティの時代です。

 

単純な理論ですが、ダイバーシティを推進するためには、

ダイバーシティを批判する人たちを消し去ってはいけません。

これこそ、多様性尊重の精神に反することです。

 

臭いものに完全にフタをしてしまい、「なかったこと」にされた少数派意見は、

行き場を求めてただよい、

同じ本音どうしでつながり、

見えない場所で増幅していきます。

 

増幅し、力を蓄えた意見は、

もはや少数派意見ではなく、大きな影響力を持つ多数意見ほどに成長し、表舞台に戻ってきます。

 

 

「体制を批判するやつは、けしからん」

「チームの輪を乱すやつは、けしからん」

 

よく言っていませんか?

 

その言動を、力任せに封じ込めようとすればするほど、

いつか、思ってもみなかったような反動を食らいます。

 

 

エグゼクティブであれば、することはシンプルです。

 

臭い物があれば、おそるおそる、嗅いでみるのです。

 

フタをしてしまい、あとで異臭騒ぎが起きては、もう遅いのです。

 

 

フタは、「半開き」ほどに空けておき、ときどき換気をしてあげてください。

 

 

風通しの良い組織とはつまり、文字通り、

 

換気の良い環境のことを言うのです。

 

 

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

われわれの美徳は、ほとんどつねに、
仮想した悪徳にすぎない。

2021/02/23

それはマナー違反です

こんにちは。

 

つらいです。花粉症状がとにかくひどいです。。。

処方されたクスリもあまり効かず、夜中に何度も目覚め、目も鼻もまるで感覚を失ったかのようです。

こういうときは、なかなか集中力も続きませんね。

次男坊が「日本の杉の木をすべて切り倒す」のが夢の一つになったそうですが、気持ちがわかります(笑)

 

 

さて今回は、ぜひリーダーである皆様から若手に伝えてあげてほしいことがあります。

しかも、皆様にとっては、自信をもって伝えてあげられるお話になっていると思います。

 

 

それは、今さら「マナーの大切さ」についてです。

 

■いまさらだけど「マナー」の話を

 

とはいっても、ここで私がマナー講師のまねごとをつぶやくつもりはありません。

 

結論を先に言いますと、私は

 

マナー = コミュニケーション = 相手に対する思いやり

 

だと思っています。

 

私は仕事柄、さまざまな業種業態の会社に訪問することが多いのですが、

業界によって、従業員のみなさんの振る舞いに、やはり特徴があります。

 

なかでも私が特に気になってしまうことが、

 

「気軽さ」を勘違いしている人たちが、特定の業界に多い、ということです。

 

 

■「気軽さ」と「親しみやすさ」は違う

 

最初に申し上げれば、

 

「気軽さ」と「親しみやすさ」はまったく別もの

 

だということです。

 

業界独特の風土、つまり、よりフラットな関係でいられる職場環境にいると、

特にこの勘違いがおきます。

 

こうした風土に身を置いている若手社員は、

日ごろから敏感に最先端の情報に触れており、おおむね優秀な人たちが多いです。

 

上司とも「さんづけ」あるいは「ニックネーム」で呼び合って、とてもフランクな職場と言えます。

 

たしかに、働きやすい職場と言えるでしょう。

 

しかし、彼らにはわかっていないことが、ひとつだけあります。

その職場環境は、先輩たちが意識して作ったものだ、ということを。

 

けっして自然のなりゆきで、今のフランクな職場が出来上がったわけではない、ということです。

 

上司やそのまた上司が、上下関係に生じるムダをなんとか減らしたいと試行錯誤した結果、

今の職場の雰囲気ができている、ということを、彼らはあらためて知らなければなりません。

 

 

「フランクな職場だから、マナーを欠いても良い」というにはなりません。

つまり、そこに身を置く若手は、あまり調子に乗らない方が良いということです。

 

 

 

■「気軽さ」=「なれなれしさ」にならないために

 

先ほども述べたように、私はさまざまな企業を訪問していますが、

こうした「勘違いされた気軽さ」ゆえに、

マナー違反とすら思わせる場面に、何度も遭遇します。

 

例えば、

 

・外部の人間がいるエレベーターの中で、上司の批判を「気軽に」言い合う

 

・「気軽な」(カジュアル)な服装の度がすぎて、相手をシラけさせる。不安を与える

 

・ぶしつけな身振り手振りで、訪問客を「気軽に」扱う

 

など。

 

どうやら、それをやっている本人たちは、「親しみやすさ」を演出しているようです。

が、逆効果です。

 

なぜなら、そのように接せられた相手にとっては、「なれなれしい奴だな」と思われていることの方が多いから。

 

社会と組織を相手に、長年、さまざまな経験や知恵を得てきた年長者にとって、

彼らは、「確かに優秀かもしれんが、まだ社会に出て数年の小僧っこ」でしかないわけです。

 

つまり、気軽さをやってのけるにはまだまだ成熟していない、ということが言えるのではないでしょうか?

 

若手が職場の気軽さをそのまま「コピペ」して許されるのは、
まさに、その職場仲間だけだということです。
それを外に適用すると、とたんにしっぺ返しを食らいます。

 

「気軽さ」=「なれなれしさ」になってしまうのですね。

 

 

 

■「気軽さ」が、「親しみやすさ」として伝わるには

 

じつは「気軽さ」が「なれなれしさ」に向くのか、「親しみやすさ」と向くのかは、

非常に微妙な違いしかありません。

 

それは、先ほど言った「成熟さ」が必要だということです。

 

では、「成熟さ」には、いったいどんな要素が入っているか?

 

・相手に対する敬意

・相手に対する関心・好奇心

・心の距離を近づけたいという欲求

 

で構成されていると思います。

そのために、「親しみやすさ」が戦略的に奏功する、ということです。

 

「自分はイケている。だから相手も自分に興味を持ってくれている」と勘違いしている若手とはまさに真逆のものです。

 

 

気軽さとマナーが絶妙なバランスとなり、
それが「親しさ」に昇華されるのは、

いかに相手のことを考慮しているか、
という「成熟さ」が必要になるのです。

 

 

■「自分が承認されること」にしか興味がない人たち

 

若手にとっては少々耳の痛い話になったかもしれませんが、

 

「相手を軽んじる」という行為には、じつは「自分にしか興味がない」
という図式が成り立っています。

 

SNSに目をやれば、「自分がいかに映えるか」にしか興味がない人たちがたくさんいます。

 

これはなにも、若手にかぎったことではありません。

良い年したオトナだって、こういう人たちは多くいますね。もはや害です。

 

そういう人たちは、まだまだ精神的に「未熟」なままなのでしょう。

 

自分の誕生日に、いくつのメッセージをもらったかには敏感なのに、

友達の誕生日は、スルーする。など、、、

 

たしかに自分に興味関心が向くのは、人間として生物学的に必要なことです。

しかし、それと同じくらい、相手に興味関心を持てないところに、

彼らの「未熟さ」が浮き彫りになります。

 

 

■結論|未熟な人による「気軽さ」は、敵をつくる

 

「親しみやすさ」を演出したいなら、

 

まずは、相手のことを知ろうとすること。

そして、相手に気分良く過ごしてもらうこと。

最後に、自分のことを知ってもらうこと。

 

これが、成熟したマナーあるオトナの鉄則です。

 

リーダーである皆様へ。

部下といま一度、マナーについて話してみませんか?

リーダーである皆様にとって、自信をもってお話できる内容だと思いますよ。

 

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

大いなる欠点を持つことは、偉人たちのみに限られる。

2021/02/16

ボキャ貧リーダーが生む悲劇

こんにちは。

 

 

こんにちは。

季節は少しずつ春に近づいていますね。

35年にわたる花粉症といよいよ決別しようと、今シーズンが終わったら

舌下免疫療法なるものを始めようと思ってます。

身の回りにサンプルがないので、その効果のほどをご存知の方は、

ぜひシェアいただければうれしいです。

 

今回のコラムテーマは、最近話題となった、五輪組織委員会の元会長の発言から得た考察を

共有したいと思います。

 

「言葉を吟味することの大切さ」についてです。

 

 

■ブレーキが壊れた頭をもつ人たち

 

ここでは五輪組織委員会の元会長の発言自体を、どうこう触れるつもりはありません。

 

例の発言が問題だと思う前に、私は

「なんでここまでの地位を得た人が、自分の言葉をコントロールできないんだろう」

と、ひとつのサンプルとして興味深く思いました。

 

 

今日触れたいのは、私がとらえた、こんな原理です。

 

普段思っていることは、その人のアタマの程度にふさわしいボキャブラリーでしか、外に出てこない。

 

 

元会長の発言は、3つのことを露呈させました。ここは、私たちも学べるはずです。

 

・そもそも人は本質的に変わらないこと

・ボキャブラリーが貧しいこと

・ふだん思っていることは、調子に乗るとそのまま口から出てしまうこと

つまり、普段から思っていることは、うっかりすると口から出てしまい、

さらに、ボキャブラリーが貧相だと、さらに傷口を広めてしまう。

 

こんなことを考えていました。

 

 

いわゆるこうした”頭のブレーキが壊れた人”は、世の中にたくさんいます。

 

すぐに自制が効かなくなり、思ったことを何の加工もせず、そのまま口にする人たちです。

 

メディアが多様化した昨今、その発言は文字でなかったとしても、繰り返し使える映像として残ります。

つまり、そんな人たちは結局、みずからの首を絞めるがごとく、ふさわしい待遇に身を処すことになるわけですね。

 

 

 

■”ボキャ貧のリーダー”は悲劇しか生まない

 

サンプルとして興味深いなと思ったのは、

普段からこのコラムでお伝えしている、「言葉を吟味する大切さ」の恰好の対象となると思ったからです。

 

さらに言えば、この機会に乗じ、

リーダーの方たちにいま一度、自分の表現力について精査してほしいと思ったからです。

 

もし今自分が何かしらのチームを率いるリーダーであれば、

自分の口から出てくる言葉の影響力について、あらためて考えてみてください。

 

 

勢いづきすぎて、誤解を生んでいませんか?

 

あるいは

 

言葉が少なすぎて、憶測や忖度を周りに強要していませんか?

 

あるいは

 

モチベーションを上げようとして、かえって自分の価値観を押し付けて

「あの人の言葉は、なえるわ~」とか陰で言われていませんか?

 

あるいは

 

自分をかしこく見せようとして、意味不明の言葉を連発し、

周りをシラけさせていませんか?

 

 

私は仕事柄、こうしたタイプのリーダーのせいで、現場からやる気がなくなっている現実をたくさん見てきました。

 

誤解、忖度、憶測を組織じゅうにまきちらし、

コミュニケーションミスによる混乱を生み、

業績下降はおろか、

クレームや事故まで、起こしかねないのです。

 

これらはもしかすると、ボキャブラリーが貧相で、表現力が乏しいリーダーが原因なのかもしれません。

 

 

 

言葉を吟味することの大切さ

 

リーダーもひとりの人間です。

いち個人としての強みやキャラクターは、尊重されるべきです。

 

しかし、それと「表現力」というスキルは、同じ分類にはされません。

 

人を動かすためには、個性とスキル、両方が必要なのです。

 

スキル側の代表例として、最たるものが、”言葉”を含む表現力です。

 

軽々しく、乏しい表現は、こと日本においては、人格すら疑われてしまいかねません。

五輪組織委員会の例の発言において、

多くの批判者が、”言葉”でなく”人格そのもの”に文句をつけていました。

 

そうです。一歩間違えれば、私たちは、必要以上に厳しい、人格否定という憂き目に

遭いかねないのです。

 

リーダーこそ。いや、リーダーでなくも、人に影響を与える人こそ、

自分の口から出てくる言葉を、よく吟味しなければなりません。

 

思ったままが口から出てきて人をなごませるのは、幼稚園児までが限界です。

 

人を元気づけ、勇気づけ、癒し、幸せにし、ときには内省を促す言葉を選びましょう。

 

 

■余談|批判側も多いに問題がある

 

最後に余談ですが、

私は一連の騒動を眺めながら、正直、日本はけっこう恐ろしい国だなと思いました。

 

この国では、批判者のメンタリティにもかなり問題がありそうです。

批判者たちのほとんどは、「女性蔑視」であろうあの人の”人格”に踏み込み、そして思いきり叩いていたのです。

 

ダイバーシティという御旗があれば、人の内面や価値観を否定しても良いと、勘違いしていないでしょうか?

それこそ、その行為がダイバーシティではありません。

都合の悪い考えを持つ人を消す。そんな価値観の押し付け合いが、紛争や戦争を呼ぶことはご存知かと思います。

 

健全な批判、建設的な議論ができる国であってほしいものです。

 

批判者である自分もまた、自分の口から出てくる言葉を吟味する必要があるはずです。

 

結局、この世はお互いさま、ですからね。

 

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

大いなる欠点を持つことは、偉人たちのみに限られる

 

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