2021/03/01

ダイバーシティ「あべこべ論」

こんにちは。

 

少しずつ春らしい陽気を感じる季節になってきましたね。

 

今回は、ここ最近の、五輪組織委員会や国会での騒動をはじめ、

世間全体になんとなく流れ始めている「異端をたたく」というメンタリティについて、

私の考察を綴ります。

 

 

■過激化してきた「批判」運動

 

「あの人の女性蔑視発言はけしからん」

発言自体の問題性はさておき、ある偉い人が最近、こう叩かれましたね。

 

また、私たちの身近ではこんなことが起きています。

「あいつは体制批判をしている。けしからん」

「あの人はチームの足並みを乱す。けしからん」

という批判の声。

 

自分が思う正義と違う人がいたら、批判したくなる。

この感情自体、人間であれば、誰だって持っているものでしょう。

 

ところが、特に最近の世間の流れに、私は少し息苦しさを感じることがあります。

 

それは、批判が過激化している、と思うからです。

 

 

■それは、「臭い物にフタ」運動ともいえる

 

例えば、

「マスク警察」や「(車の)ナンバー警察」と揶揄される人たち。

 

あるいは、

例の五輪組織委員会。問題発言をした人を、フクロ叩きにした人たち。

 

私は、この両者は本質的に同じタイプなのでは、と思っています。

 

こういうタイプの人たちに共通しているのは、

自分たちの正義とする基準から少しでも外れると、

その人を批判するだけにとどまらず、

とどめを刺すまで、手を緩めず追い込む

という特徴です。

 

例の女性蔑視発言を受けて、

「追い詰めます、絶対に」とTwitterで発言した、国際オリンピック委員会の委員がいました。

 

私はこれを見て、背筋が寒くなる思いがしました。

 

たしかに現代は、ダイバーシティが重んじられる時代ではあります。

しかし、ある人の発言がダイバーシティに反する考えをしたからといって

「追い詰めます、絶対に」と表明するって。

 

それ自体、「多様な意見が存在することを、許さない」という意思表明ではないのでしょうか。

 

自分はダイバーシティ推進の旗手のつもりで、

ダイバーシティに反する多様な意見をつぶす。

つまり、その姿勢こそが、ダイバーシティの精神に反している、と言えないでしょうか?

 

私は、こうした、徹底的に追い込むような、過激化された批判は、

「臭い物にフタ」のわかりやすい行動パターンだと認識するようになりました。

 

 

■繰り返される悲しい歴史

 

世間が「是」とする多数派意見。

 

これを批判する少数派意見は、おおむね「否」とされます。

 

 

多数派によって、徹底的に否定・批判され、

表舞台から消えるまで追い詰めらて、

「なかったこと」になってしまった少数派の「否」の意見は、

いったいどこに行くのでしょう?

 

とうぜん、消えるはずはありません。

 

「皆と違うから駄目だ」という理由で、表舞台から無理やり引きずり降ろされた

「個人の意見」は、当然そこで消えるはずもなく、

表舞台ではなく、まるで地中に深く潜るように、自分の意見への賛同者を探して歩きます。

つまり、本音を言えるコミュニティを静かに、しかし、強固に形成していくのだと思います。

 

言いたいけど言えなかった本音と本音。

 

こういうものは、ものすごく強いエネルギーで結びつきます。

 

そして、マグマのように溜まったそのエネルギーはあるとき、地中では息苦しくなり、

いよいよ、恐ろしく強烈なパワーや影響力をもった状態で、また表舞台に舞い戻ってきます。

今度は、制御できないほどの勢いをもって。

 

まるで、核燃料の不法投棄が蓄積したことで生まれた、「ゴジラ」です。

 

5年前もこんなことがありましたね。

アメリカ合衆国の表舞台に登場したトランプ氏は、

当時はマイノリティと言われた、差別主義者たちのの気持ちを代弁する形で、

まさに勢いづいて大統領にまでなりました。

 

 

■組織運営は「臭い物にフタをしない」こと

 

ダイバーシティの時代です。

 

単純な理論ですが、ダイバーシティを推進するためには、

ダイバーシティを批判する人たちを消し去ってはいけません。

これこそ、多様性尊重の精神に反することです。

 

臭いものに完全にフタをしてしまい、「なかったこと」にされた少数派意見は、

行き場を求めてただよい、

同じ本音どうしでつながり、

見えない場所で増幅していきます。

 

増幅し、力を蓄えた意見は、

もはや少数派意見ではなく、大きな影響力を持つ多数意見ほどに成長し、表舞台に戻ってきます。

 

 

「体制を批判するやつは、けしからん」

「チームの輪を乱すやつは、けしからん」

 

よく言っていませんか?

 

その言動を、力任せに封じ込めようとすればするほど、

いつか、思ってもみなかったような反動を食らいます。

 

 

エグゼクティブであれば、することはシンプルです。

 

臭い物があれば、おそるおそる、嗅いでみるのです。

 

フタをしてしまい、あとで異臭騒ぎが起きては、もう遅いのです。

 

 

フタは、「半開き」ほどに空けておき、ときどき換気をしてあげてください。

 

 

風通しの良い組織とはつまり、文字通り、

 

換気の良い環境のことを言うのです。

 

 

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

 

われわれの美徳は、ほとんどつねに、
仮想した悪徳にすぎない。

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