「ニューノーマルの限界」をファクトで見てみた

こんにちは。

今回は、「ニューノーマル」と言われるコミュニケーション様式について
私が現時点で実感している、ひとつの結論をお伝えしたいと思います。

先に述べますと、
「ニューノーマルらしきものは、単なるブームでしかなかった」
ということです。

■結論:オンラインはニューノーマルにはならなかった
新型コロナの拡大にともない、この約2年で認知され始めた「ニューノーマル」と言われるコミュニケーション様式。

それは、多くの人が
「会議でも商談でもセミナーでも、別にオンラインでも変わらないよね?」と気づいた、ということ。
コミュニケーションをオンライン化することで、移動にともなうコストや固定費などがいっさい不要となり、結果、「便利さ」という点に、スポットが当たったのです。

在宅勤務、リモートワーク、ワーケーションが一気に増え始め、大半の人がその便利さを享受できました。

「子供と一緒にいられる時間が増えた」
「家事を夫婦で分担することができた」
「痛勤から解放された」
「無駄だった仕事を整理できた」
「嫌いな上司と直接顔を合わせなくて済むようになった」
などなど、リモート化によってもたらされたメリットは、実際多かったようです。

ところが、その水面下で、便利さとのトレードオフとも言うべき、不都合な真実もまた生まれています。

■ニューノーマルの裏で生まれた「不都合な真実」
オンライン化が「ニューノーマル」と決めつけるのは、早かったようです。

例を挙げれば、けっこうな深刻さがわかります。

・DVの増加
「コロナ禍、過去最多の相談件数」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6043e9d85b2e528cf13411da1dcf1ca17296036

・婚姻と出生数の減少
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/kekka.pdf

・ハラスメント、メンタルヘルス相談の増加
「コロナ禍で『死にたい』と訴える相談件数は前年比 1.7 倍に増加」
https://www.t-pec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/02/newsrelease_2021-0225text.pdf

・組織エンゲージメント低下と生産性低下の傾向
https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14

ここに、ファクトだけ見ていくと、こう言えそうです。

例えば、
夫・父親が一日中、家にいる。
家事がいつもより増えた女性にとってストレスが増える。
夫・父親は、社内の打合せが急増し、さらにコミュニケーション不全でストレスを抱えている。
互いがストレスのはけ口になる。
家庭内のメンタルヘルスが低下する。
もちろん例外はありますが、こうしたパターンを見ると、
家庭内においては、メリットよりもデメリットの方が多いと言い切れそうです。

DXが10年分進んだと言われ、
移動コストや固定費が削減でき
どこにいても気軽に連絡が取りあえる
という、メリットを享受したのと引き換えに、

家庭内の心理的安全性が低下し、
ハラスメントの犠牲者が増え、
組織の生産性が下がった。
果たして、これが「ニューノーマル」のままで良いのでしょうか?

■”真”ニューノーマルの胎動
私自身、人と直接かかわる仕事をしていて、断言できますが、
「こんなことを、ニューノーマルにしてはいけない」
と思っています。

たしかに当社も、サービス対応においては、最初から最後までオンラインで完結できるように、モデルチェンジもしました。
確かにそれで、なんとなく効率は良くなったように感じました。

しかし、最近思います。
「なにか、大切なことを置き去りしていないかな。。。」と。

それは一言でいうと、
「余白」
です。
数か月前、こんな記事を見つけました。

Apple社
「1月中には全社員をオフィスに復帰させたい」
クックCEO、給与問題や新型コロナでの職場復帰について社内向け説明
職場に来て、直接仲間とコミュニケーションをすることを奨励しています。

この動きはappleだけでなく、ネットフリックスやその他IT大手に多く見られます。

オンラインコミュニケーションの特徴として挙げられるのは、

・その時間にしかコミュニケーションができない
つまり、限られた時間以外では、お互いの様子がまったくわからない

・必要以外の情報共有ができない
つまり、チームで仕事を進めるには、コミュニケーションの「余白」にヒントがあるはずなのに、それがまったくない

と言えると思います。

■「余白」を取り去ろうとする日本企業
外資系IT大手のこの動きは、状況に適応しながらも、
自社のパーパスに忠実に従っている、と思います。

すぐさまオンラインのデメリットの大きさに気づき、早々に全社で動いています。

ところが反対に、国内企業はどうか。

完全リモート化

という動きが加速していませんか?
大手企業では、自社ビルを売却する動きすらあり、
その後に、外資IT企業が続々入居しているそうです。

なんと柔軟性がないのだろう。そう思ってしまいます。

「オンラインで仕事をすることがニューノーマルなんだ」という風潮を、あまりにも従順に受け入れてしまい、盲目的に完全リモート化に突き進む。

おおっぴらには言えませんが、日本が敗戦国となった”あの頃”の特徴と、なんら変わっていない気すらしてしまいます。。。

私は最近、コンサルティングでもコーチングでも、「たまには会って話しましょう」と促しています。

それは、オンラインという四角四面の形態では、つかみきれない余白を、対面だとすぐに埋め合わせることができるからです。

「会っておいて、良かった」
会うと、お互い必ずそう言い合えます。

なにより、クリエイティブな話や、信頼関係を築くには、”五感”を総動員しないと、お互いの呼吸も測れません。

便利だから。
ラクだから。

ただそれだけで、コミュニケーションというものをないがしろにできるほど、人間はレベルが高くありません。

ラクして効率を測る人間関係なんて、しょせん薄っぺらいものなのです。

そのことに、早く気づきましょう。

日本人特有の「一本槍」は、さっさと捨てましょう。

偽物のニューノーマルは、もう限界が見えてきています。

これからは、オンラインも対面も。
どっちも柔軟に扱うのが、「真」ニューノーマルなのではないでしょうか?

会わなければ、大切なことは前には進みません。
柔軟に、対応できるようになりましょう。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

われわれの美徳は、ほとんどつねに、
仮想した悪徳にすぎない。

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