こんにちは。
まるで真夏のような暑さが続いていますね。
梅雨はいつの間に明けたのでしょうか…?
今回は、色んな分野でリアルに目の当たりにしている、「世代交代」について、考察します。
■世代の交代が一気に進んだ格闘技界
この日曜日、私はキックボクシングをやっている次男坊を連れて、『THE MATCH 2022』を東京ドームで観戦してきました。
普段はプロレスしか観戦しない私ですが、恐らく今世紀中には見られないであろう、さまざまなストーリーの壮大な結末を見届けるべく、
足を運んできました。
↓THE MATCH 2022について↓
2022年6月19日(日)Yogibo presents THE MATCH 2022 | K-1公式サイト | K-1 JAPAN GROUP
すべてのファンが注目したメインを含め、全試合が通常のメインイベント級のマッチアップでした。
主役の二人についての感想は別の場でシェアするとして、私が印象に残っているのは、2つの試合です。
ひとつはオープニングマッチ「那須川 龍心選手VS大久保 琉唯選手」
もうひとつは第13試合「原口 健飛選手VS山崎 秀晃選手」
オープニングマッチの二人は、若干16歳と18歳の選手の試合でした。
まだ大会開始前のざわざわした、客もまばらな会場で、じつに堂々とした見事な試合を展開し、拍手喝さいを浴びていました。
一方で、13試合の二人は、ベテランの山崎選手が、全力を出し切りながら、若手の原口選手から見事なKOをとられる、という試合。
デビューして間もない10代が、業界に見事に爪痕を残した。
ベテランが死に物狂いで若手に襲い掛かり、そして散った。
そんな2試合が、今でも頭に残っています。
■大学生たちの交流と考察
そんな折も折。
私はあることがご縁で、地方創生プロジェクトを全国規模で運営している大学生たちと、じっくりお話をする機会がありました。
これからのさらに下の世代(小中高生)たちのことを、心から支援しようとする彼らの志は、
一点の曇りもなく、ただまっすぐにこれからの日本の未来を見据えていました。
その迷いのないまなざしと、迷いのない言葉に触れ、
やはり私は同じように、
次の世代が確実に、たくましく育っていることを、確信するにいたりました。
そういえば先日、こんなことがありました。
東京のはずれの河原でソロキャンプをしていた高1の次男坊が、そこにいた大人に声をかけられたのをきっかけに、
彼が起こした焚き火を囲みながら話し込み、
「Z世代は本当に素晴らしいね。もう日本は大丈夫だ」と言われたそうです。
聞けば、その大人は、銀座で会社を経営している男性だったということです。
■「頼もしい」と思った瞬間が”引き時”なんだな…と思う
こうした底知れないエネルギーをもって、どんどん頭角を出そうとしている若い世代。
私たちミドル・シニアは、その姿を見るだけでなく、交流し、意見を交わしてみるべきです。
(『THE MATCH 2022』では、実際「拳」という意見が交わされたわけですが)
すると、これまで、遠巻きに見ていただけのときとは、明らかに違う感覚が芽生えてきます。
「邪魔しないでおこう。彼らがまっすぐ伸びる支えになろう」
という感覚です。
大学、そして競技の世界では、
ある意味わかりやすく、新しい世代が頭角を現します。
■なぜか、自分が主役になりたがる「万能感おじさん」たち
しかし、そんな頼もしく伸びようとする芽を、見誤り、ともすると意図的に摘んでしまうのが、「ビジネス」の世界では起きがちです。
その原因は、シンプルです。
なかなか主役のステージを譲ることができない、自称「万能」のベテラン世代の存在です。
「あの成果は、私が昔、タネを撒いておいたからね」
「ちょっと私がアドバイスしたら、うまくやってくれたよ」
「彼らのおかげだよ。最初に土壌を作ったのは、私だったけどね」
こういう具合に、常にどこかに「私のおかげ」という構文を入れてきがちな人たちです。
下の世代が台頭してくることを、表向きは喜んでいながらも、
「まだまだ主役は私だ。このステージは譲らない」と、内面では思っている人たちです。
そして、なぜ譲らないのですか?と理由を聞くと、
「まだまだ彼が頼りないからだ」とか
「以前に失敗したことがあるからだ」などと、決まって言い訳が始まります。
自分たちの若い頃の失敗エピソードは、きれいサッパリ忘れてしまい、
「完璧な跡継ぎ」にならないと主役は譲らないという、自分への万能感を持つ人たち。
もちろん、そんな人ばかりだと会社は潰れてしまうので、
きちんと理解力と器を備えたミドル・シニアも、確実にいます。
ベテランの名誉のために…(笑)
■「譲れない」の本音は、「次の居場所がない」
私が多くの企業や現場を見てきた実感として、結論を言います。
「ニュースター」たちは、ベテランが思っているよりもずっと確実に自分の使命を自覚しつつ、彼らなりの準備を整えています。
たしかに、心もとない部分も彼らにはあります。
しかし、そのわずかな部分を取り立てて、「完璧になるまで、次は譲らない」のであれば、
自分たちが人生の寿命をまっとうするまで、世代交代は起きないでしょう。
「いやいや。それは、競技の世界の話だろう?」
そう言うかもしれません。
しかし、競技の世界もビジネスの世界も、世代交代の本質は同じなのです。
たまたま競技の世界が、「結果が見えやすい」だけの話なのです。
ビジネスでは、やたらと経験によって知恵がつくため、
仕事の出来・不出来を、取り繕ったり、ごまかすことができます。
だから、「やつは、まだまだだ」と言って、
いつ来るともしれない「完璧な状態」になるまで、主役を譲らないのではないでしょうか。
こうした、ベテランの「譲れない症候群」の本質は、「恐怖心」だと、私は思っています。
「主役でなくなった自分が、どんな役割を演じたらよいのか。いまさら脇役にはなれない。。。」
といった、寂寥感に耐えられない。そう思っているのではないでしょうか。
■ベテランは死力を尽くして若手に挑め
『THE MATCH 2022』でKOを喫した山崎選手は、試合後、「これからの身の振り方は、あらためて会社と話し合いたい」と、インタビューに応えたそうです。
すがすがしいですね。
すべてを出し尽くし、悔いはない人間の言葉だと思います。
ベテランが死力を振り絞ることで、それによって若手は真の力が引き出された。
ベテランがこれ以上に、存在感を示すことができるでしょうか。
ベテランが本気になって彼らに挑むから、彼らも自分が驚くほどの力を発揮するのです。
そして、ベテランが「死に物狂い」の世代交代のリングを用意するタイミングは、ひとつです。
「こいつも頼もしくなったな」
一瞬でもそう思った瞬間です。
■人材育成は、手加減を絶対しないこと
死に物狂いで若手に臨んだのなら、必ずそれだけの居場所が、自分に用意されます。
だから、自分の居場所ほしさに、若手を排除するなんてカッコ悪いことは、よしましょう。
ましてや、「自分はもうあと数年で引退だから、穏便に逃げ切ろう」なんてことは、プロのビジネスマンとしては「下の下」です。
そこまで来たベテランの、残された使命は、いかに「レガシー」を残すかです。
引退の、最後の1秒まで、全力で若手に挑むのです。
私も含めて、40代も後半になれば、
カッコつけてもカッコがつかない年齢になっているのです。
世代交代は、死力を尽くす。
そのカッコ悪さが、ものすごくカッコ良い、と私は心から思います。
皆さまの、心豊かなキャリアと人生を祈っています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
弱さは、悪徳が美徳に反するより、
もっと美徳に反する
ラ・ロシュフコー
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