こんにちは。
例年にない厳しい冬がようやく終わり、春らしい陽気になってきましたね。
先月は、オープンセミナーの記念すべき第1回を開催しました。
ご参加いただいたみなさまは、一様に「大満足」の評価をいただき、うれしく思っています。
あらためてご参加ありがとうございました。
さて、そんな中、社会は国内外問わず、大小問わず、さまざまな出来事が起きています。
春の陽気とは裏腹に、
どことなく気持ちがざわつく。いつもは感じないような不安が続く。
そんな状態になっている人はきっと、少なくないんだろうと思います。
今回のテーマは、「メタ認知」についてです。
オープンセミナーでも触れましたが、このコラムでも少しずつ解説をしていきたいと思います。
不安な気持ちになりやすい、感情的になりやすい、そんな状況から、自分を救い上げてくれる力が、このメタ認知にはあります。
今回、メタ認知についての理解、メタ認知力を高めるためのヒントをご紹介していきます。
■メタ認知とは
自分自身を客観的な視点から俯瞰する能力
のことをいいます。
文献を借りると、次のように解説されています。
メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味。
つまり、認知している自分自身を、さらに高い視点から認知するということ。
メタ認知は、何かを実行している自分に頭の中で働く
「もう一人の自分」と言われたり、「認知についての認知」
といわれることがある。
‘※参考:奈良教育大学
悩んでいる。焦っている。不安になっている。はしゃいでいる。などなど。
感情に支配されそうになっている自分を、少し距離を置いて眺める、ということですね。
■メタ認知が注目される背景
この2年で、多くの企業はリモートワーク時代に突入しました。
それに伴うように、メンタルヘルスやハラスメントの相談が、過去に例をみないほどの増え方をしていると聞きます。
私自身、企業にお勤めの方たちが、リモートワークによってどのような状態になっているかもヒアリングしていますが、一定の方からは「不安だ」「孤独を感じる」という言葉をしょっちゅう聞きます。
「上司とのコンタクトが減った。相談どころか、簡単な雑談さえできない」。
「メール中心となり、メールの数が急増し、字面を追いかけるばかり、さばくことが増えるばかりで、相手の真意が見えなくなった」。
「オンラインでも画面をオフにされているので、不機嫌なのか、いつも通りなのか、わからない」。
などなど。
直接のコミュニケーションを通し、相手の状態をリアルタイムに把握することが難しくなったことによって、不安が増しています。
つまり、人にとって最も大切な、信頼関係が今グラグラと揺らいでいて、その不安定さに耐えられなくなった人が増えているのではないでしょうか。
ましては昨今は、「リモートハラスメント」なるものも社会問題化するほど。
「孤独だ」「不安だ」という言葉が聞こえてくるのは、そんな状態に陥っている人たちのSOS信号だととらえてよいでしょう。
そこに来て、社会を覆う、パンデミックや侵略戦争。。。
やすらぎを覚えることの方が、むしろ少ないというのが、今の日常なのかもしれません。
■メタ認知が低い人の特徴
上司の声色がいつもよりも不機嫌そう。
お客様が感情的になっている。
といった、みずからの感情を揺さぶられるような場面に、私たちはよく遭遇します。
メタ認知が低い人、というのは、大きく分けて二つのタイプに分かれます。
タイプ①「過敏(同調)型」
ストレスを抱え込みすぎる人です。メンタルダウンをおこしやすいタイプと言えます。
よく出てくる特徴としては、
・目の前の人の言動に、すぐに感情的に反応する… ・起きたことに、反射的に行動を起こす… ・人の感情に過敏に反応する…
といった人たちです。
タイプ②「鈍感(自己中)型」
先ほどとは反対に、ハラスメント当事者になりやすいタイプと言えます。
よく出る特徴としては、
・空気を読まない言動をする… ・自分が正しいと強く思い込み、人に押し付ける… ・自分、他者の感情に無頓着…
といった、不安を他人に与えるような人たちです。
両極端なタイプを紹介しましたが、私を含む多くの方はこの間のゾーンにいるのではないか、とも思っています。
そして、何かがトリガーになって、どちらかに振れることがあるのかもしれません。
共通しているのは、いずれのタイプにしろ、「冷静な判断力を欠いている」と言えます。
パンデミック直後の、あの「インフォデミック」がそうでしたね。デマなのか真実なのか検証もせず、スーパーの食品売り場に押し寄せていた人たちが、思い出されます。
不安に襲われたとき、多くの人は、「感情的な即時反射」に身を任せます。
あと先考える間もなく、自分の価値観をそのまま直接的に出すのです。
目の前の人が怒っていれば?
目をそらす。頭が真っ白になる。怖くなって下を向く。反撃する。逃げる。など
目の前の人が泣き出したら?
胸が苦しくなる。自分も悲しくなる。イラついてくる。涙が出てくる。など
「感情的な即時反射」とは、私が勝手に作った言葉ですが、世の中には「脊髄反射」などと揶揄されることもあります。
いずれにせよ、こうしたパターンに陥る人は、「冷静な判断力を欠いている」ことになますね。
■メタ認知をつけることで得られるメリット
こんな不安な時代だからこそ、メタ認知が注目されているのです。
それを力として身につけることで、うまく自分を取り戻すことができるはずです。
メタ認知をつけることのメリットは、以下のようなものがあります。 ✓ うわべでなく本質的な視点でものごとを見られる。 つまり「問題解決力」が高まる。 ✓ 自分の感情をコントロールしやすくなる。 つまり、ものごとに冷静に対処できる。 ✓ 自分の言動を分析できる。 つまり、その場にふさわしい行動を選択できる。
その場の空気や、周りの人の感情に呑み込まれることなく、一定の距離を置いて自分も相手も眺めることができたらどうでしょうか?
きっと、少しは落ち着いて、その場の対応を自分なりに工夫できるはずです。
■私がコーチングを提供する理由
私は「行動変容」の専門家としてコーチングを行い、組織風土の改革につなげる仕事をしていますが、この「メタ認知」がコーチングを通して、いかに重要なものかを日々実感しています。
あらためて言いますと、コーチングは、単なる手法にすぎません。
それを通じて私が、クライアントに届けたいことは、 「柔軟で本質的な視点によって自分とその場をメタ認知し、みずからのありようを見直してアウトプットを変化させる、創造的な力を養う」ことなのです。
一読しただけは、じゅうぶんにわからないかもしれません。
大胆に短縮すると、
私がコーチングを引き受けるのは、
クライアントに、メタ認知と創造力を養ってもらうためなのです。
■メタ認知力を高めるための数々の方法と効果
では、そんなメタ認知力を高めるためには、どうすれば良いのでしょう?
アート思考、アンラーニング、リフレクション、行動変容など、
さまざまな技法を教えられる私のコーチングを受けていただくことが、本当はいちばんなのですが(笑)、
例えば、 セルフモニタリング マインドフルネス 本質的な問い(アップチャンキングの質問) 傾聴(異質を受け入れる) VTS(対話型鑑賞法) といったものが、挙げられます。
さらに、もっと付け加えて良いなら、個人的には、 世界史を学ぶ 未来予測をする 嫌いな人と食事をする 趣味を広げる といった方法も、効果てきめんです。
今後、セミナーや動画をはじめ、このコラムでも折に触れて紹介していきますが、私のコーチングでは、前半で記した技法すべてを動員します。
クライアントはそれらの視点を通して自分を見たり、場を眺めたり、ものごとを検証したりしながら、 少しずつ(人によっては劇的に)、みずからのフィルターを外していきます。
つまり、コーチという他者の促しによって、問題をメタ認知し、本質に迫り、多面的で豊かな発想を得ることができるのです。
以上、今回は「メタ認知についての認知」を深めていただきました。
気になるキーワードは、調べていただければかなりの情報が得られます。
ぜひ実践し、この不安な状況を、一緒に冷静に乗り切っていきましょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
<本日の箴言> ラ・ロシュフコーより 人間はときに、他人と別であると同じほどに自分も別人である
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