こんにちは。
今年の夏休みも、厳しい暑さが続きましたね。
思い出に残る時間を過ごされたでしょうか?
今回のテーマでは、今の時代において「コーチをする人」には、どんなことが必要なのかを、私なりに考察しています。
■コーチの限界「引き出して終わり?」
従来の秩序や常識が、激しく崩れ去るこの時代は、まさしく”カオス”です。
しかし、カオスとは、時間軸においてそれ単体で存在することはありません。
古代中国思想には、
「陰極まれば、無極を経て陽に転化し、陽極まれば、無極を経て陰に転化する」
という諺があります。
陰極まって陽になり、陽極まって陰になる。。。
つまりこの摂理は、「カオスは、クリエイション(創造)の前触れ」。
この混沌とした状況は、新たな価値が生まれる予兆とも言えます。
そして、ビジネス界隈では、カオスの様相が深まるともに、コーチングが注目されるようになりました。
過去の常識が通用しない問題が増え、自分たちで答えを創る必要に迫られるなかで、
一人ひとりの中から、答えを探るコーチングという手法が、たくさんの職場で活用されています。
たしかに、ひとつの見方としてコーチングは、答えを引き出す有効な技法ではあります。
しかし、あえて注文を付けるなら、
「答えを引き出して終わり」では、なんの解決にもならないのです。
カオスから創造が生まれるなら、そこに何かしらの触媒が必要となり、
そこにコーチが立ち会えなければ、存在の意味をなさないのです。
これは、世にあまたいるコーチのアキレス腱になるのではないでしょうか。
コーチングという概念に忠実であればあるほど、「創造する」という行為は、他の人の仕事になってしまいがちになるからです。
カオスの今、コーチは”ニュータイプ”への進化が必要となっているのです。
■進化したコーチとは、「デザインして体験させる」ことができる人
少々乱暴に言うと、
これまでのコーチは「引き出す」ことができる人でした。
自分の中にある答えを探るのが従来のコーチングです。
つまり、自分の中から出てきた言葉や想いによってクライアントは動機づけられ、行動変容を起こすという理屈です。
したがって、「いかにうまく引き出すことができるか」が、コーチの価値の決め手だったのではないでしょうか。
こうしたコーチに必要な力は、よく言われる「共感力」や「傾聴力」、「質問力」です。
しかし…
これからのコーチは「引き出し」と「編集」ができる人です。
引き出された答えを、組み替えたり構築したりして(編集)、クライアント自身が飛び込める状況を創る、というプロセスまでが必要なのです。
一寸先は闇。行動を起こすのに、これまで以上に「勇気」が必要になる時代だからです。
状況を創る力。
つまり、進化したコーチには、「共感」や「傾聴」ももちろんですが、それ以上に、「デザインする力」が備わっていなければならないのです。
■「寄り添う人から、導く人へ」
私は近年、自分の会社を「学びと体験をデザインする会社」と紹介しています。
そして自分自身を、「協働デザイナー」と紹介することもあります。
私が関わるクライアントは、企業やビジネスマン、ときには自治体です。
クライアントには、「学びと体験を通して、状況を変える力を身につけてもらう」ことを目的に、伴走します。
本当の意味の自律は、
「隣に誰かがいてくれる安心感」だけでは実現しません。
それだけでなく、
「状況を変えられる自信」をつけるための”導き”や”刺激”が必要なのです。
そしてこれからのコーチングには、その”刺激”を適切なタイミングで与えらえるための、学びと体験をデザインする力が必要です。
そのためには、
①メタな視点|問題を俯瞰し、多様な要素から本質を見出す
②編集力|本質的課題を発見し、新たな解決策を見つける力
③対話力|個の本質に働きかけて創発を起こす
力が必要です。
■よくあるケースでの例示
そのヒントに少々触れますが、例えば、
「毎日忙しくてメンバーの育成がおぼつかない」と嘆くビジネスマンは多いと思います。
「じゃあ、どうやったら仕事をこなしながら、育成の時間を作ろうか」というアプローチは従来に多かったと思います。
が、これでは問題は解決しません。
「育成しなくても成り立っている今の状況の、なにが問題なのか?」から、真の支援は始まるのです。
「その状況に困っている」というのは会社であって、クライアントではないかもしれません。
会社が困っているからクライアントも困っているのか?
いや、案外、クライアント自身は困っていなくて、メンバーもそれぞれのタスクをやっているだけで満足しているかもしれません。
これを探るのに必要なのが、上記、3つの力なのです。
そもそも前提からひっくり返して、会社とクライアントにとってハッピーな状況を、ひとつひとつのピースから新たな状況に転化させることが、これからのコーチには必要です。
例えば世の中には、人をまったく育てられないけど、社会にインパクトをもたらし、組織に利益をもたらしているリーダーもいるわけです。
つまり、上記のケースでいうと、
「育成ができない=ダメなリーダー」という前提を疑わないこと自体、
旧来の常識に縛られている証拠なのです。
■いい大人は「LEGO」をやれ
ひとつひとつのピースをかけ合わせて、あたらしい状況を創りあげるというのは、まるで、私たちが幼い頃に興じた、あの「LEGO」です。
誰しも創造性を持っています。
それにフタをしているのは、大人になり「空気を読む力」を身につけてしまったからだと、私は思っています。
LEGOは、手を動かしているうちに、自分だけの答えのイメージがどんどん明確になる、素晴らしいツールです。
しかもそのプロセスを、楽しみながらやれるのです。
ゴルフも良いですが、ひとりでLEGOを楽しむくらいの方が、魅力ある大人ではないでしょうか?
新時代のコーチには、このセンスが絶対に必要です。
陰極まって陽となり、陽極まって陰となる。。。
自分のことをコーチと呼ぶからには、その「触媒」にならないといけないのです。
デザインする力は、今はビジネスの隅々にまで必要になっているのです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<今週の箴言> 人まねは、つねに見すぼらしい。 同じ一つの物でも、それが作り飾っていないとき 人を喜ばすのと同じように、 まがい物はすべて人を不愉快にする。
ラ・ロシュフコー
関連動画はこちら↓
(YouTubeチャンネル「ミライ思考ラボ」)
https://www.youtube.com/user/tsuyoshikiyohara/featured
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