こんにちは。秋が少しずつ深まってきましたね。
今回は、以前にもその概要を触れた『クルーシャル・カンバセーション』について、さらに踏み込んで書いていきます。
尚、今回のコラムは、ケリー・パターソン他著『クルーシャル・カンバセーション』をもとに、その内容になるべく忠実に展開していきます。
クルーシャル・カンバセーションとは
「意見の衝突、強い感情をともなう極めて重要な話し合い」をクルーシャル・カンバセーションと言います。
私たちは日ごろから、何気ない会話が、こうしたクルーシャル・カンバセーションに変わる瞬間をしょっちゅう経験しています。
例えば、
・親しかった関係を終わらせる
・横柄な態度を取ったり、挑発的な物言いをする同僚と話をする
・友人に借金の返済を催促する
・上司の言動について、本人に意見を述べる
・離婚したパートナーと、子供の養育費や子供に会う権利について話し合う
・反抗的な10代の若者と話をする
・低い評価を部下につける
などなど。
身の回りには、クルーシャル・カンバセーションが生まれる機会がゴロゴロしていますね。。。
組織にクルーシャル・カンバセーションがどう影響するか
1.力強い人間関係
2.しっかりとした組織やコミュニティ
これらはどのような共通点を持っているでしょうか?
著者の研究によれば、これらすべての要素は同じ力に支えられている、とのことです。
それは、「重要な結果や反対意見、強い感情に直面したときに、率直に感じていることを話す」能力です。
沈黙は”失敗”を招く
私はコーチングを誰かに教える際、「相手が沈黙しているときは、それを破ってはいけません」とお伝えしてるのですが、
組織全体として難しい状況に陥ったときは、例外です。
そういうときの「沈黙」はむしろ、害悪になるケースがあります。
例えば、こんなケース。
病院の一室で、医師が患者への点滴の準備を行っている。しかし、彼は安全上義務付けられている手袋やマスク、上着を着用していない。
それを見ていた看護師の誰もが、何も声を上げない。
文字だけ追うと、「なんで?」と思うかもしれませんが、このような現場は意外と日常的に存在しています。
実際、7,000人以上の医療従事者を対象にした調査によれば、84%がルールを破る同僚の行動を”頻繁”に目撃していると回答しています。
そして驚くべきことに、そのような行動を目撃しても、半数以上の看護師が何も声を挙げないというのです。
真実を語れる組織とは?
この傾向は医療の現場だけでなく、ビジネスの現場にも存在します。
世界中の数百の企業の、3,200以上のプロジェクトについての調査によれば、失敗するプロジェクトを、なんと数ヶ月から数年前から、90%近くの確率で予測できる、ということが判明しました。
そして、成功するプロジェクトと失敗するプロジェクトの大きな分かれ道は、従業員が、いくつかの「決定的瞬間」で、適切なコミュニケーションをとれるかどうか、ということでした。
その「決定的瞬間」とは、例えば、
1.プロジェクトの範囲やスケジュールが、現実的でないと感じたとき
2.他部門のチームメンバーが仕事について、怠慢になったとき
3.幹部がプロジェクトのリーダーシップを発揮できていないと感じたとき
多くの企業では、これらの決定的瞬間が生まれたにも関わらず、従業員は黙ってしまいます。
しかし一方で、従業員が、懸念や意見を率直に話せる文化を持つ企業では、プロジェクトの失敗率が半分以下になることが、明らかになったのです。
問題は、「問題が多い」ことではない
私たちは、医療現場もプロジェクトも、完璧でないことを知っています。
そして、ビジネスの現場でも、ルールを破る人、隠れて不正を働く人が少なからずいる、ということも知っています。
ですが問題は、「不正が多い」「失敗率が高い」「ルールを破る人が多い」ということでありません。
問題は、そこではないのです。
本当の問題は、違反や逸脱を目撃した人が“何もいわない”ことにあるのです。
上司がルールを破るのを「目の敵」にされたくないから、見て見ぬふりをする。
経営が誤った判断をするのを、「反抗的な奴」と思われたくないから、何も意見を言わずに見過ごす。
本書では、こうした決定的瞬間での沈黙が、組織の「愚かな判断」を招くと指摘しています。
まさに、組織的な失敗とは、「誰もが過ちだとわかっていながら黙っている」ことから発生するのです。
決定的瞬間の対処には「3つめの選択肢」がある
私たちは例えば、力を持った人が目の前にいて、その人が過ちを犯しそうになるとき、以下の2択のうちいずれかを選ぶしかないと思いがちです。
・選択肢1:率直な意見を述べ、力を持つ人物から目をつけられる
・選択肢2:黙り込み、誤った決断に加担する
このように、「率直に意見を述べる」か、「友好関係を保つ」か、どちらかを選ぶ外ない、と思い込んでいます。
しかし、選択肢はそれだけではないのです。
選択肢3として、「相手に敬意を払いつつも、自分に正直でいる」ためにはどうすればいいのか?と考えることもできるのです。
このように視点を動かすだけで、その後に取れる行動の幅がぐっと広がるのを実感できるでしょう。
これはつまり、
・本当に欲しいものに集中する
・愚かな選択をしない
ことを可能にします。
そのためのヒントとして、2つの条件を組み合わせた、疑問文を組み立ててみましょう。
1.自分が心から「望んでいる」ことを明確にする
2.自分が心から「望んでいない」ことを明確にする
3.それらを組み合わせた疑問文を自分に投げる
1そして2を、順にひとつひとつ、自分が認識できる言葉になるよう自分に問います。
そうして、「両方を達成する方法があるのではないか?」と自分に問いかけると、たいていはその可能性が十分にあることに気づくはずです。
こうして私たちは、「愚かな選択」を避けることができるようになります。
上記3つは、決定的瞬間に立ち会ったとき、私たちが取りうるたいへん有効な自問の技法なのです。
組織にとって、お互いにとってより良い未来を創るため、クルーシャル・カンバセーションを成功させましょう。
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■開催日
2023年11月29日(水)12:00~13:00
■対象
・意見の異なる利害関係者の間で、納得いく結論が出せずに悩んでいるリーダー層
・多様なメンバーが集まる会議やプロジェクトで、合意形成ができないで悩んでいるリーダー層
■参加費
無料
■プログラム
- クルーシャル・カンバセーションとはなにか
- クルーシャル・カンバセーションとはなにか
- ショートワーク
- クルーシャル・カンバセーションの前提
- 会話を始めるための前提
- 組織で取り組むクルーシャル・カンバセーション
- 難しい会話を成功させる指針
- 3つの指針 ※ポイントで学ぶ
- 指針の全体像
- まとめとリフレクション
- クルーシャル・カンバセーションを実践しよう
- 重要な2つの原則
- Q&A
▼セミナー詳細・お申込み▼
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皆さまのご参加、お待ちしております。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
<今週の箴言> 人間は年を取るにつれて、 いっそうもの狂いおしくなるとともに、 賢くもなる
ラ・ロシュフコー
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