データで読む「プロパー社員のモチベは、なんで転職組より低いのか?」

こんにちは。
連休明け、いかがお過ごしですか?
私は、「組織開発」まわりのデータ検証にハマっている今日この頃です。

今回は、調査で行きついた、あるデータから考察をしてみたいと思います。
若者の職業観にも関わる、ちょっと興味を引かれたデータです。

※今回の引用元↓
労働政策研究報告書No.213 「大都市の若者の就業行動と意識の変容―「第5回 若者のワークスタイル調査」から―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)

■「できれば仕事をやりたくない」と言ってしまう正社員て…
下のグラフは、労働政策研究報告書の出典です。
25~35歳の社員に対して行った、職業意識の変化です。

まずはご覧ください。

<若者の職業意識の変化(抜粋)・上段:男性 下段:女性>

労働政策研究報告書 No.213 大都市の若者の就業行動と意識の変容
―「第5回 若者のワークスタイル調査」から―


びっくりした方も多いと思います。
私はびっくりというより、思わず笑いが漏れたのですが、
「出来れば仕事をしたくない」という若者が、近年急増傾向にあるらしいです。

それにしても、正社員でいながら「働きたくない」と言えてしまう感覚。私には、とうてい理解できないのですが…(笑)
すでにこの時点で、回答者は、ティーンエージャーなのか?と、確認してしまったくらいです。

■転職組よりも、プロパー社員のやる気が低いらしい
さらに気になるのが、転職してきた社員よりも、新入社員からずっといた、いわゆるプロパー社員の方が、歴然として「やる気が低い」というのです。

図表2 正社員のキャリア別・現職への評価


労働政策研究報告書 No.213 大都市の若者の就業行動と意識の変容
―「第5回 若者のワークスタイル調査」から―


転職を5回ほど経験してきた私にとっては、このことはグラフを確認するまでもなく、肌感覚で理解できます。
出典元から引用しても、以下のような解釈となります。

「自分に向いている仕事がわからない」という迷いを感じる者が増加するなど、迷いの中で現在の仕事のやりがいを感じにくくなり、また、今後の勤務先でのキャリアに見通しを持てなくなっているものと解釈した。

労働政策研究報告書 No.213より引用

つまり、プロパー社員の一定数は、

「仕事にやりがいを見つけられていないから、離職を考える」
ということのようです。

これは私の仮説ですが、
外からやってきた人材には、この会社にいる理由が明確にある。
だから、やりがいは最初から見つけているわけです。

私も転職するときは、「この会社でこういう仕事をして、こういう人材になりたい」と思って入社試験を受けたものです。

一方で、プロパー社員。
ずっと中にいた人材は、「なんで自分がこの会社に入ったか」を忘れてしまったのではないでしょうか。
ですから、あらためて今の自分の目で、会社や会社の理念を見直し、自分のキャリアを考える機会を与えないといけないと、思います。

と、これは私の仮説でした。
では、ここからは、そのやりがいに直結する「内発的モチベーション」というものについて触れます。
それを構成する3要素である「自律性」・「有能感」・「関係性」に基づいた施策を考察していきます。

■内発的モチベーションの3要素
モチベーションが生まれる要因は、
「外発的要因」「内発的要因」の、2種類があります。

当然ですが、内発的要因によって生まれた内発的モチベーションの方が、継続性・効果において、圧倒的に強いです。

それはそうです。
「やらされる」よりも「やりたい」という理由の方が、取り組み姿勢が違いますよね?

では、これら自律性・有能感・関係性にもとづいた、有効性が実証されている施策を紹介します。

■施策その①「自律性」を尊重する働き方改革
自律性とは、「自分の基準で選んで行動する」という特質です。

自律性を尊重する働き方改革は、従業員が自分自身で働くことを選べる環境を整えることです。

例えば、フレックスタイム制度や、リモートワーク制度。
なんだかんだ言って、自分にとって最適な働き方を選択できることは、やりがいを高めるようです。

■施策その②「有能感」を高める成長支援
有能感とは、「人に影響を与えたい」という衝動的な特性です。
「人に有能だと思われたい」というのは、誰しも多少はあるでしょう。

自分の能力やスキルを向上させ、それを人に知らしめる機会が必要なのです。

リクルートやパナソニックに代表される、社員が自分たちで教育コンテンツを選んでいく、教育研修プログラムはやはり有効です。
つまり、社員自身が自発的に学び、成長する機会を与える、ということです。

社員に対してあまねく広く、教育の機会を設けておく。あとは、自主性に任せる。
学ぶ人は学ぶ。そして成長する。
学ばない人は学ばず、自己責任において置き去りにされる。

という面も備えていて、おかしくはないと思います。

もはや一律研修というは、実施する方も(ほんとに失礼ですが)、参加する方も、イヤな気持ちしかしないわけです。

そして、調査をしていますと、やはりありました。

メンター制度
これは、当社でも強く推し進めているプログラムです。
より経験豊富な先輩社員がメンターとなり、個人の成長をサポートするしくみです。
さまざまな企業で、プログラムに参加した社員の生産性・定着率が向上していることは、すでに当社でも実証済みです。

■施策その③関係性を強化するコミュニケーションの促進
良好な人間関係は、定着率を決定づけるほど大きな要因です。

私の実感値では、
「イヤな上司の人数×2~3人の社員」が辞めていく
ということです。

つまり、社員が100人辞めれば、その中心に、「イヤな上司」が30~40人いる、ということになります。

それほど、今の企業にとって「イヤな上司」は、足を引っ張る存在となっているのです。

では、その具体的施策としては、代表的な2例を紹介します。

①チームビルディング活動
つまり、社員の交流です。
定期的にチームビルディング活動を実施することで、社員同士のコミュニケーションを促進し、関係性を強化します。
例えば、社内イベントや歓送迎会の開催など、社員が気軽に交流できる環境を整えることが効果的と言われています。

②フィードバック文化の醸成
つまり、1on1です。
定期的な1対1の面談や、プロジェクトごとの振り返り会議を実施し、社員同士が互いの意見や感想を共有できるようにすることで、関係性を深めます。

ただし!
きれいごとでは済まないことも、わかっています。
イヤな上司(何度も失礼)がいたら、部下を守るために、「1on1はちょっと保留」にするぐらいのセーフティネットも必要です。

いかがでしょうか。

プロパー社員の一定数は、かなり今、気持ち的に揺れているという事実。
そのためには、あらためて「やりがい」を自分で見つける機会を与える、ということですね。
けっして、やりがいを押し付けるのではありません。

自律性・有能感・関係性の3つの内発的モチベーションを向上させる施策を考えてみましょう。
従業員が自分の仕事に誇りを持ち、企業全体が持続的に成長していくことを願っています。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※トップ画面は、AIに描かせました。

<今週の箴言>
つきあいには親切心が無くてはならぬ。
ただし、それには限度が必要である。度を超えれば、親切心は屈従となる。
少なくとも物事にこだわらない親切心が必要である。

ラ・ロシュフコー

※note きよはらつよし(清原豪士)より転載

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