善意とマウンティングの境界

こんにちは。
今回は、職場にかぎらず私たちの身の回りで起きる、「マウンティング」がなぜ起きるのか、について考察をします。

結論からいうと、

「不用意にアドバイスも支援もしないほうが良い」

これに尽きます。
なぜか?
科学的な裏付けから探っていきましょう。

1.善意とマウンティングの狭間で
親しい人が困っているとき、私たちはしばしば手を差し伸べたくなったり、アドバイスをしたくなりますね。
それは本能的なムーブですし、とうぜん悪気なんてないです。

ところが、手を差し伸べられる側にとっては、必ずしもそれを善意だと感じていない、ということが明らかになりました。

本コラムは、
『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』
(ロバート・ウォールディンガー 、マーク・シュルツ著)
の内容の一部をもとに、私の考察を展開しています。

2.マウンティングの本質
霊長類の”オス同士”でしか見られない、序列の確認行動というのがあります。それが「マウンティング」です。
マウントを取った個体が優位に立ち、マウントされた個体が従属的な位置に置かれる、ということを意味する行為です。
(女性同士でやり合ってるのを見たことがある、という方。その人たちに対する評価は、皆さんの想像にお任せします)

例えば、サル。
自分の優位性を誇示するために、相手の背中やお腹のうえに「馬乗り」になる行為を見たことあるかもしれません。
ボス猿はいつも猿山のてっぺんで皆を見下ろしています。
つまり、あれです。

マウンティングの図

人間社会においても、この本能は微妙に作用しており、集団内の序列を確認する手段として無意識のうちに行われている、とのことです。

では、「善意のアドバイス」が、どのようにして「マウンティング」に変わり得るのか、そしてその影響について探求します。

3.アドバイスと序列の関係
人間の脳は、マウントすることを報酬と感じ、マウントされることを損失と感じるように進化しました。
このため、アドバイスを受ける際には、そのアドバイスが序列の確認行動として受け取られる可能性がある、ということ。
特に、アドバイスの正当性が認められない場合、そのアドバイスはむしろ「攻撃」として受け取られ、成果を悪化させることさえあります。

こちら側としては、相手が困っているから手を差し伸べようとしているのに、相手は「マウントされている」、「攻撃されている」と受け止めているなんて…なんかショックです。

では、私たちがやってきた支援やアドバイスは、ムダどころか、逆効果だったのか?

一概にはそう言えません。

4.善意のアドバイスとマウンティングの境界
アドバイスが受け入れられるには、相互に必要な条件があります。

条件①支援する側が、序列が明確な「上司」であること

くだらないアドバイスや無理強いは別として、だいたいが受け入れられるようです。なぜなら、組織は序列(階層)が明確だからです。
(私は個人的に会社員時代、上司であっても尊敬していない人からの助言は、聞いているフリだけしていました)。

条件②序列があいまいな「同僚」なら、その分野で本人よりも優れていること

問題なのは、同僚からアドバイスをもらうケースです。
残念なことに、この序列が同位、あるいはあいまいである立場の人からの支援は、機能しないことが多いということです。

同位の人からのアドバイスが効果的であるためには、
受け手がアドバイスを出す人を尊敬しているか、あるいは
その領域において自分より優れていると認めている必要があります。

つまり、相手が圧倒的な強者であれば、その人からの支援は、マウントと感じることなく受け入れられるため、自尊心が傷つくことはありません。

アドバイスは不用意にするべからず
アドバイスをする側は、自分の言葉がどのように受け取られるかを慎重に考える必要がある
、ということになります。
善意だけではなく、相手の感情や立場を考慮することが、真に効果的なアドバイスをするための鍵となります。

このように、善意の支援とマウンティングの間には、微妙なバランスが存在します。このバランスを理解し、適切に相手をナビゲートすることが、人間関係を豊かにする鍵になるのです。
アドバイスをする際は、
・自分の立場と相手の感情を考慮すること
・アドバイス以外にできることはないかと考慮すること
が必要です。

コミュニケーションというのは、本当に簡単ではありません。
こちが「善かれ」と思ったことでも、当事者にとって「大きなお世話」という反感を持たせることもあるのですから。

困っている人がいたら、私はまず、「傾聴」をお勧めします。

傾聴は、「その人にとっての理解者」になるための姿勢です。
押し付けも、おせっかいも感じさせません。
ただ、「あなたの置かれている状況を教えてほしい」という謙虚かつ親切な姿勢です。

もし、本人が求めてもいないのにアドバイスをしたくなったら、傾聴をしてみください。

いかがでしたか?

善意とマウンティングの狭間で、私たちは微妙なバランスのとり方が求められています。

明日のより良い人間関係を築いていくために、参考になれば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

<今週の箴言>
自己の腕前を人に示さないことこそが真の腕前である。

ラ・ロシュフコー

※note きよはらつよし(清原豪士)より転載

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