組織に「アーティスト」待望論

こんにちは。

本格的な寒さが到来しましたね。
これから年末年始を迎えるなか、体調にはくれぐれもお気を付けください。

今回のテーマは、いまこそ組織にアーティスト的存在が待望される、その理由を私なりにお伝えしていきます。

■アート思考は、ビジネスで当たり前に必要になった
私は5年ほど前に書籍と出会い、セミナーや講演などに参加しながら「アート思考」について少しずつ勉強を始めました。
そしてこの2021年は、一年を通して本格的に学ぶ機会を得ました。
学ぶだけでなく、実際に手を動かし、当社のサービス開発にも採用してきました。

アート思考は「創造的思考」ともいわれます。
それは、アーティストであれば必ず持っている、ものごとの見方、世界の見方です。
旧来の常識をためらいなく捨て去り、対象となるものの「本質」だけを見極め、ゼロから価値を定義しなおす思考力です。
ビジネスでは今、クリエイティビティやイノベーションが待ったなしで必要です。

自社のサービスや商品について、足元からその意味づけを定義しなおすことで、市場は無限に広がり、「まさか」の競争相手が出現したりします。

■それはすべて「問い」から始まる|デザイン思考との相性
イノベーションを実現するには、何が必要でしょうか?

それは簡単に言えば、

既成の概念・常識を疑う目と、
それを遠慮なく発信できる環境、
そして、
とりあえず手を動かしてみる好奇心
だと思っています。

少し前に、「デザイン思考」が一世を風靡しました。
これは、どんな思考法でしょうか?

一言でいうと、デザイナーならだれもが持つ思考。
「問題の解決策を生む力」、つまり最適な答えを見つける思考法です。

お客様の利益のために、どうすれば良いかを導くための技術です。

一方でアート思考は、答えを導くのではなく、「問題を見つける」ために有効な思考技術です。
ものごとの「そもそも」を問います。

「そもそも、それってなぜ必要なのか?」
「そもそも、その問題は何なのか?」
こうした、「主観的な問い」から、創造というものは始まります。

■「正解のない問い」を考え続けられるか
ここで質問です。

「コップ」とは、何に使うものですか?

もちろん、とっさに出てくる答えは「水を入れて飲むため」に使うものだ、というものでしょう。

しかし、ここで考えを止めないで、他の答えを探してみてほしいのです。

コップはもしかしたら、食器でなく、叩いて楽しむ「楽器」なのかもしれない。
あるいは、もしかしたら、テーブルの上の小さなごみを捨てる「ゴミ容器」なのかもしれない。
こう考えると、まだまだコップの見方は変わるはずです。

つまり、アート思考は、こうした問いによって、どんどん対象物の抽象度を上げていきます。
そして、主観的な見方によって生まれる可能性の広がりを楽しむものです。

そこに、ものごとの定義のしなおしが、可能になるのです。

■イノベーションに必須の思考技術
分析をするためのロジカル思考。
最適解を見つけるためのデザイン思考。
可能性を広げるためのアート思考。
時代は、その時代にふさわしい思考法を求めています。

VUCAの時代と言われる昨今、前提条件が簡単にくつがえる状況で、私たちに求められるのは、
「答えのない問い」を探し続ける思考法です。

人の正解でなく、自分なりの答えを出す。

そのためには、問い、柔軟に考え、自分なりの答えを出すことが必要です。

■コーチングとアート思考
私はエグゼクティブをお相手にコーチングをすることが多いです。

クライアントに対し、例えば、「あなたは、あなたをどのような人だと思っていますか?」
というような、抽象度の高い質問をよくします。

通常、抽象度の高い質問というのは、省エネ生物である私たちは、なるべく向き合いたくないものです。

しかし、コーチングの時間、少なくとも私といる時間は、そうした質問から逃げることはできません。
当たり前ですが、ロジカル思考やデザイン思考で、出るはずのない答えです。
つまり、自分にしか出せない答えなのです。

これから自分がどう生きていくのか。
これから会社がどう成長していくのか。

これは、当事者が、既存の概念や常識を打ち捨てて向き合い、自分で見て、自分で考えるしかない問いなのです。
これからの時代に必要なのは、こうした、自分で答えを出す思考法です。

■ひとつの組織に、ひとりのアーティスト
ここ10年ほどの間で、グローバル企業は、MBAよりも「MFA」を積極的に採用し、トップに近い位置で活躍をさせているそうです。

MFAとは、Master of Fine Arts (美術学修士)のことです。

過去のデータよりも、未来への創造がより求めらえる時代になりました。

つまり、組織にはアーティストが必要なのです。
自社のリソースを再定義し、未来を創造する。
私は、「組織に一人のアーティストを生む」覚悟で、コーチングを取り組んでいます。

イノベーションの発火点となるような人材、つまりアーティストを、育ててみませんか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

一つも馬鹿をしないで生きている人間は、
自分で考えているほど賢明ではない。

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