ビジネス考現学「プロレスに学ぶドラマの創造」

こんにちは。清原です。
少しずつ秋の気配が近づいてきましたね。
お変わりありませんか?

さて、今回は、ちょっと唐突かもしれませんが、このテーマを扱ってみたいと思います。

プロレスは学びの宝庫だ
日本の2大政党による党首選が続き、その結果にかなり心がザワついた1週間でした。
あるテレビ討論会を見てたら、その後党首となったN氏が、たいへん興味深いコメントをしていました。見られた方は多かったと思います。
いわく、「政治も少しは、プロレスから学ぶべきだ」と。N氏は、大のプロレスファンであることで有名です。
(武藤敬司の引退試合では、特別リングサイドで観戦している姿が映されていたくらいです)

つまりN氏が意図しているのは、「今の政治は、敵対政党の悪口ばかり。相手を叩きのめすことばかりやっている。プロレスのように、相手の良いところを引き出しながら、戦うべきだ」ということです。
私はこのコメントを聞いて、何度もうなずいてしまいました。ものすごく共感できるからです。

私もN氏同様、大のプロレスファンです。
自分の人生の一部をプロレスに投影するくらい、このエンターテインメントが好きです。
年に何度も試合に足を運び、みずからもプロレス道場に通うほどに。

なぜならプロレスほど、さまざまな学びがある競技はありません。
プロレスは単なる格闘技ではなく、相手との共演を通じて生まれる感動やドラマがあります。

じつは私自身、幼少期から中学生まで、格闘技を学んでいました。
しかし今では、例えば、PRIDEやK-1といった格闘技を観ることはほとんどありません。なぜか?
それは、「ただ勝てばよい」ということを目的においた格闘技に、シンパシーを感じなくなっているからです。

私が、プロレスに魅了されているのは、プロレスは勝利が唯一の目的ではないからです。
つまり、エンターテインメントとして、観客への配慮があるということが、最大の魅力であると思っています。
選手たちは常に観客を意識し、「どうすれば最高の試合になるか」を考えながら戦っています。
勝つことはもちろん重要ですが、相手の良さを最大限に引き出し、そのうえで自分の力が相手によって引き出される。

そのシナジーが、想定外のドラマと興奮をもたらしてくれるのです。予想を超え、最高にまで高められた「試合」というプロダクト。
それを観客と共に楽しむことがプロレスの本質なのです。

プロレス美学:想定外によってクオリティに磨きがかかる

そういう意味で、私はすべてのプロレスラーを尊敬してやみません。
自分の勝ち負けと同じくらい「どうやって試合のクオリティを高めるか」。
つまり、「勝ち方が大事」というわけです。
これはつまり、「プロレスの美学」です。そしてこの考えは、ビジネスにも通じるものがあります。

ビジネスにおいても、ただ自分だけがスタンドプレイによって勝つよりも、チームメンバーの良さを引き出したり、ライバルの良いところから学ぶことが、チームや組織によってより良い成果を生み出すことは、自明の理です。

ビジネスで求められるプロジェクトやプロダクトのクオリティというのは、こうしたシナジーによって高まるのです。
プロレスでは、相手とのシナジーが試合の成功を左右する要素となりますが、ビジネスでも同じように、シナジーを生み出すことで新しい価値や創造が生まれるのです。

シナジーとは、想定外によって生まれるドラマ

ちなみにプロレスの試合では、勝敗が事前に決まっていることある、と都市伝説のように語られますが、プロレスファンの懐が深いのは、そんなことはどうでもよいのです。
もしそうであったとしても、それでも試合が退屈に感じられることはありません。相手の技を受け、その反応に応じて自分の技を繰り出し、観客を魅了する。
このプロセスがあるからこそ、予定調和を超えた感動やサプライズが生まれるのです。

ビジネスの現場でも、なんのトラブルもなく、100%計画通りに進めることができたプロジェクトに、はたしてどれだけの達成感や面白味があるでしょうか?
時には予期せぬトラブルや、メンバーの衝突、クライアントとのミスコミュニケーションなどがあります。
そうした想定外に臨機応変に対応し、そしてやり切るからこそ、そのプロジェクトはよりいっそう輝きを増すのではないでしょうか。

シナジーとはつまり、想定外によって生まれるドラマなのです。

いかがでしょうか。

プロレスから学べることは、じつに多岐にわたります。
相手を打ち負かすことだけを目的にするのではなく、相手や周囲との関係性、シナジーを意識して、その時々にふさわしい行動をすることが、現代のビジネスパーソンにも求められているのではないでしょうか。

プロレスが教えてくれる「相手を輝かせながら、シナジーによって最高のパフォーマンスを目指す」という精神は、ビジネスにおいても今後ますます重要になると感じています。

今週も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

<今週の箴言>
あまり利口でない人たちは、一般に自分のおよび得ない事柄についてはなんでもけなす。

ラ・ロシュフコー

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